
龍樹の町
仏教思想の中核ともされる「空」の概念を起こしたのは誰か?
大乗仏教の祖、日本仏教八宗の祖とされる龍樹。
またの漢名は龍猛。サンスクリット語ではナーガールジュナ。
その龍樹の名がつく龍樹連峰、龍樹湖があるインド・マンセルを訪れました。
インド・マンセルはムンバイのあるマハーラーシュトラ州の第2の都市ナグプール中心部から車で一時間ほどかかります。
インドの宗教と言えば、ヒンドゥ教とイスラム教というイメージですが、実は、インドには1億5000万人の仏教徒がいるとされます。
しかし、70年ほど前までは数十万人しかいませんでした。
仏教徒が劇的に増えたのは、佐々井秀麗(87)という日本人の活動によるものです。
今回、その佐々井上人にお会いすることができました。
佐々井上人のインドでの功績は、仏教改宗による人々の救済や南天鉄塔の発見に留まらず、寺院設立、宗教的文化的遺跡の保存、貧しい農村への支援、病院の建設など多岐に渡ります。
たった50数年の間に、日本国外で、これだけ多くの人々に影響を与え、地域社会に貢献した日本人は他にいないのではないでしょうか。
佐々井上人にお会いでき、お話を伺えたことは奇跡的でした。
大切にされている活動の一つ、コンダサワリ病院を訪れました。
コンダサワリ村に住む400人の方の健康を守るのは、Pravin Panchbudde医師(38)です。
小さな診療所ではあるが、検査室、診療室など8部屋あり。綺麗に整頓されていました。
診療機材も限られていますが、先生は熱心で週1回の訪問診療を週2回にして、より地域の患者さんたちを助けたいとおっしゃられていました。
急患にも対応できるように、救急車も完備されていたことには驚きました。
こうした先生がいることが、どれだけ地域の方の安心に繋がるかは計り知れません。
日本に住んでいると、水が綺麗なこと、薬があること、病院があることは当たり前のように感じます。しかし、世界中の多くはそうではないこと、そうした現実を目の当たりにして、ようやく実感できたような気がします。
今回、たまたま日本人の亀井さんがいらっしゃったから、未知の現実を見ることができました。
強い志を立て、生涯を掛ける活動をされている佐々井上人と、その活動を支える皆さんにお会いできたことには感謝しかありません。
佐々井上人をはじめ、インドラ寺院の皆様、ナグプールの皆様、ありがとうございました。